塗る

日焼け止めのSPF、結局いくつを選べばいいのか

4.5年・903人の試験で使われたのは「SPF15+」でした

記事の最後に、この記事の結論から導いた「選び方の基準」と、それに合う商品を置いています。広告(アフィリエイトリンク)です。

売り場で、数字だけを見ていませんか

SPF50+。PA++++。とりあえず、いちばん数字が大きいものを選ぶ。

そして朝の忙しい時間に、化粧下地の代わりにサッと伸ばして終わり。ベタつくのが嫌だから、薄く。白浮きするのが嫌だから、少なめに。

その塗り方をしているかぎり、SPF50+の「50」は、あなたの肌の上には存在していません。この記事は、その話です。

効果が確かめられたのは「SPF15+」。足りないのは数字ではなく、量でした

日焼け止めについて、研究が答えを出していることは3つです。

1. 日焼け止めを毎日塗ることが、皮膚の老化を遅らせる。これは4.5年の本物のランダム化比較試験で確かめられています。 このブログで扱ってきたテーマの中で、いちばん根拠が堅い。

2. ただし、その試験で使われたのは「SPF15+」でした。 「シワを防ぐならSPF50が必要」を裏付ける長期試験は、探しても見つかりませんでした。

3. そして、日本人女性が顔に塗る乳液タイプの日焼け止めは、実測で 0.3 mg/cm²。SPFを測るときの基準量(2.0 mg/cm²)の、およそ15%です。

つまり、伸ばすべきは数字ではなく、量のほうです。順番に見ていきます。

研究では何がわかっているのか

903人を4.5年追った試験で、毎日塗った人は「老化が検出されなかった」

オーストラリア・ナンボアで行われたランダム化比較試験があります。55歳未満の成人903人を、4.5年間追いかけました(1992〜1996年)。広域スペクトルのSPF15+日焼け止めを頭・首・腕・手に毎日塗る群と、塗るかどうかは本人の自由な群に分け、手の甲の表面構造を計測して皮膚の老化を評価しています。

  • 皮膚老化の進行は、毎日群のほうが対照群より 24%少なかった(相対オッズ 0.76, 95%CI 0.59–0.98)
  • 毎日群では、4.5年間で皮膚老化の増加が検出されませんでした

しかもこの試験、資金を出したのはオーストラリア国立保健医療研究評議会(NHMRC)という公的機関です。化粧品会社のお金ではありません。掲載誌は内科系のトップジャーナルです。

そして、この試験で配られた日焼け止めは、SPF15+でした。

同じ試験は、皮膚がんについても結果を出しています

同じナンボア試験(1,621人)では、皮膚がんの発生も追跡されました。

  • 有棘細胞がん: 腫瘍数の率比 0.61(毎日群で少なかった)
  • 基底細胞がん: 率比 1.03(=差がなかった)

さらに試験終了から10年後の追跡では、新規のメラノーマ(悪性黒色腫)が毎日群11例 vs 自由裁量群22例。浸潤メラノーマに限ると3例 vs 11例でした(HR 0.27, 95%CI 0.08–0.97)。ただし、がんについては後で正直に書きます。

日本人女性が実際に塗っている量は、基準の15%だった

日本の研究チームが、20〜50代の女性131人に質問紙調査を行い、うち20人で顔への実際の塗布量を測りました。

日焼け止めは、基準の何割しか塗られていないのか

乳液タイプ 0.3
下地クリーム 0.5
スプレー 0.5
ジェル 1.2

単位: mg/cm²

SPFを測るときの基準量 2.0 mg/cm²。ここに届いて、はじめて表示どおりのSPFが出る

出典: Marume 2020(日本化粧品技術者会誌、日本人女性131人の実測)

いちばん使われている乳液タイプで、基準の15%。カナダ医師会雑誌のレビューも「消費者の通常の使用量は推奨量の20〜50%」と書いています。世界共通の現象ですが、乳液タイプの15%はその中でもかなり少ない数字です。

(この論文は、著者2名が化粧品関連企業に所属しています。ただし「消費者は塗れていない」という結果は、化粧品を売る側にとって都合のいい話ではありません。)

量が減ると、SPFは「指数関数的に」落ちる

「量が半分なら、SPFも半分」——直感的にはそう思います。違いました。

韓国の研究チームが、アジア人の健康なボランティア15人で、塗布量を 0.5 / 1.0 / 1.5 / 2.0 mg/cm² と振って、SPFを実測しました。

  • 表示どおりのSPF値が出たのは、2.0 mg/cm² を塗ったときだけ
  • 塗布量とSPFの関係は、「指数関数的増加」に最もよく当てはまった
  • 現実によくある 0.5 mg/cm² では、防御力の予測すら困難だった

指数関数、という言葉を通訳します。量が減ると、SPFは「直線的」ではなく「それ以上の勢いで」落ちる、ということです。半分の量なら半分のSPF、ではありません。もっと落ちます。

では「SPF30と50は同じ」なのか——ここは逆の結果があります

米国コロラド州のスキーリゾートで、健康な成人199人を対象に行われた試験です。同じ人の顔の右半分にSPF50+、左半分にSPF100+を塗り、塗る量も回数も本人の自由にして、一日スキーをしてもらいました(平均6.1時間の日光曝露)。翌日、日焼けの度合いを評価します。

同じ顔の左右に、SPF50+ と SPF100+ を塗って、一日スキーをした

SPF50+ 側のほうが日焼けが強かった人 55.3%(110人)
SPF100+ 側のほうが日焼けが強かった人 5%(10人)

199人。塗る量も回数も本人の自由。平均6.1時間の日光曝露

「人はどうせ基準量を塗らない」という条件下での比較です。ただし、著者に Johnson & Johnson Consumer Inc.(高SPF製品を販売する Neutrogena の親会社)の研究者が含まれます。標高の高いスキー場で6時間という条件も、日本の日常とはかけ離れています。出典: Williams 2018(J Am Acad Dermatol、健康な成人199人・ランダム化二重盲検・半顔試験)

同じ顔の左右で、SPF50+側のほうが日焼けが強かった人が 55.3%(110人/199人)。SPF100+側のほうが強かった人は 5%(10人/199人)でした。

つまり、「人はどうせちゃんと塗らない」という前提に立つと、表示SPFが高いほうが保険になります。 「量が大事」と「高SPFのほうが強い」は、矛盾しません。両方とも、「実際の塗布量が足りていない」という同じ現実から出てきた結論です。

ただし、この試験には大きな注意書きが必要です。著者にJohnson & Johnson Consumer Inc.(高SPF製品を販売するNeutrogenaの親会社)の研究者が含まれています。「高SPFのほうがいい」という結論は、資金提供元の利益と一致します。標高の高いスキー場で6時間、という条件も、日本の日常とはかけ離れています。

UVAが「光老化の主犯」とされる理由

PA表示はUVAに対する防御の指標です。UVAを防ぐことに意味がある、という土台のほうは、しっかりしています。

2021年のレビュー(Am J Clin Dermatol)は、こう書いています。UVAはUVBより波長が長く、真皮(肌の奥の層)まで深く到達する。そこで線維芽細胞(肌のハリのもとを作る細胞)のアポトーシス(細胞の自死)を誘導し、MMP(コラーゲンを分解する酵素)を増やす。だからUVAは「光老化の主要な駆動因子」だと。一方、UVBは主に表皮(肌のいちばん外側)で吸収されます。

UVA防御に意味がある、という話は、ここまでです。この先が問題です。

ただし、ここまでは言えません

ここが、このブログでいちばん大事なセクションです。

売り場で言われていることと、論文に書いてあったこと

よく見かける言い方論文を開いて確認できたこと
PA++++ と PA+++ の差 ++++ のほうが守ってくれる 等級どうしを人で比べた臨床試験は、検索で返った10件の中に1本もなかった
SPF50 とシワ シワを防ぐなら SPF50 が必要 検索で返った20件の中に、長期試験は1本もなかった。光老化の進行を抑えた4.5年のRCTで使われたのは SPF15+
塗り直しの間隔 2〜3時間ごとに塗り直す 出典は2001年の数学モデル(理論計算)。その結論は「外出20分後に塗り直すと、2時間後に塗り直した場合のUV曝露の60〜85%に減る」
「指2本分」 顔と首には、指2本分 2002年 BMJ のレター(読者投稿)。査読付きの原著論文ではなく、面積からの計算に基づく目安
SPF の数字の意味 SPF50 は SPF30 の1.7倍守ってくれる SPF は紅斑(赤くなること)が起きるまでの時間の比であって、防御率の比ではない
毎日塗ること 日焼け止めは、皮膚の老化を遅らせる 903人・4.5年のランダム化比較試験。皮膚老化の進行は毎日群で24%少なく(相対オッズ 0.76, 95%CI 0.59–0.98)、毎日群では4.5年で老化の増加が検出されなかった
最下段だけ、左右が食い違っていません。「日焼け止めを毎日塗る」ことの根拠は堅く、食い違うのは「数字を上げる」ほうの話です。出典: 4.5年RCT=Hughes 2013(Ann Intern Med)/塗り直しの数学モデル=Diffey 2001(J Am Acad Dermatol)/指2本分=Taylor & Diffey 2002(BMJ・レター)。PA等級とSPF50の長期試験については、記事に載せた検索式で返ってきた10件・20件を確認した結果です

1. 「PA++++はPA+++より守ってくれる」——比べた臨床試験を探しましたが、見つかりませんでした。

PA表示は、PPD法(持続型即時黒化)という実験室の測定値に基づく等級です。けれど、PA+++とPA++++を直接比較して、シワ・シミ・光老化に差が出るかを見た臨床試験は、確認できませんでした。

PPD法・UVA防御指数と、日焼け止め、シワ/光老化を掛け合わせて検索しました。返ってきたのは10件です。0件ではありません。 ですが、10本のどれも、UVA防御の等級どうしを人で比べた臨床試験ではありませんでした。 UVAの測定方法の話、製剤の話、総説。「PA+++の製品とPA++++の製品を、人に塗って、肌の変化を比べた」試験は、この10件の中にありませんでした。

検索の限界も書いておきます。PubMed の検索窓は「+」の記号を落とします。 つまり「PA++++」という語では、そもそも検索できません。だから測定法の名前(PPD法、UVA防御指数)で探しました。この探し方が最善だったとは言い切れません。 そこは正直に置いておきます。

PA等級とPPD値の対応表もよく紹介されていますが、その数値の一次資料(日本化粧品工業会の公式文書)を直接確認できなかったため、この記事では数値を書きません。 確認できていないものは書かない。それがこのブログのルールです。

念のため書き添えます。「臨床試験が見つからなかった」は「PA++++には意味がない」ではありません。逆方向に断定するのも、同じ間違いです。

2. 「シワを防ぐならSPF50が必要」——この主張の裏付けは、見つかりませんでした。

SPF50と、シワ/光老化を掛け合わせた検索です。返ってきたのは20件。 この記事でいちばん多い件数です。それでも、20本の中に、SPF50の日焼け止めをシワや光老化で長期に評価した試験は、1本もありませんでした。 中身は、日焼け止めの処方(作り方)の研究、少人数のパイロット試験、そして総説です。

20件返ってくることと、答えが無いことは、両立します。 検索語が引っかかることと、その論文が知りたいことを測っていることは、別だからです。だから件数を隠さずに書きます。

SPF30とSPF50を直接比べて、光老化やシワを長期に評価したRCTも、探した範囲にありません。あるのは、日焼け(紅斑)を評価したSPF50+ vs SPF100+の試験(上記)までです。そして繰り返しますが、光老化の進行を抑えたことが示された4.5年の試験で使われたのは、SPF15+です。

この2つの検索は、記事の末尾から、あなたの画面で再実行できます。 10件・20件が返ってくること、そしてその中に等級の臨床比較も長期試験も無いことを、ご自分で確かめてください。私を信じる必要はありません。

3. SPFは「防御率の比」ではありません。 SPF50はSPF30の1.7倍守ってくれる、という言い方は正確ではありません。SPFは、紅斑(赤くなること)が起きるまでの時間の比であって、防御率の比ではないからです。

4. 「2〜3時間ごとに塗り直す」の出典は、臨床試験ではありませんでした。

よく見る「2〜3時間ごと」という推奨に、強い臨床試験の裏付けは見つかりませんでした。もとになっているのは2001年の数学モデル(理論計算)の論文です。しかもその結論は、世間の常識と逆でした。「外出開始から20分後に塗り直すと、2時間後に塗り直した場合に受けるUV曝露の60〜85%に減る」——つまり、早く塗り直すほうがいい、という答えです。

ただしこれはモデル研究であって、人で検証されたわけではありません。「2〜3時間ごと」も「20分後」も、どちらも臨床試験で確かめられてはいない。それが正確な現状です。

5. 「室内でも、曇りでも、冬でも日焼け止めを」——これを検証した介入試験は、見つかりませんでした。

根拠として使われているのは、①UVAが真皮に届く(上記のレビュー)という機序の話と、②窓側の顔だけが老けていたという研究です。

その②は、10人のパイロット(予備的)研究です。職業上、顔の片側だけ長年窓からの光を浴びてきた人(運転手、教師、販売員など、平均63.8歳)を左右で比較しました。

窓側で有意に悪かった項目は、確かにあります。 シワの臨床スコアの合計(p=0.0039)、肌色の均一性、そしてのシワの体積と粗さ。ここは p<0.05 でした。

ただし——この研究でいちばん引用される数字は、「目の下のシワの体積が平均26%多かった」です。全文を開いて項目ごとに確認したところ、その項目だけは p>0.1 で、有意水準に届いていませんでした。

10人中7人で窓側が深く、差は平均26%(範囲7〜50%)。傾向としては見えます。ですが「26%多い」は、有意差のついた数字ではありません。

そしてn=10、対照群なし、資金提供は化粧品企業(The Boots Company)。断定できる規模ではありません。

理屈は通る。でも決定的な証拠はまだない。ここを言い切っている記事は、根拠を持っていません。

6. がんについて。 メラノーマは、あの試験の副次評価項目です。試験はメラノーマを検出できる規模で設計されていません。イベント数も11例 vs 22例と少ない。全メラノーマではHR 0.50、P=.051で、有意水準にわずかに届いていません(有意だったのは浸潤メラノーマのみ)。そして基底細胞がんには効果がありませんでした(率比1.03)。結果が割れている、というのが誠実な要約です。

7. すべての試験は、オーストラリアで行われました。 詳しくは、下の「気をつけたいこと」の図に畳みました。

日常への生かし方

研究の話は、ここまでです。ここからは提案です。 以下は論文が言っていることではなく、論文を読んだうえでのこのブログの提案です。境目をはっきりさせておきます。

1. 今夜、洗面台で「指2本分」を出してみてください。たぶん、想像の3倍あります。

顔と首に必要な量は、人差し指と中指の、手のひらのシワから指先まで、2本ぶんの長さを絞り出した量です。これでおよそ 2 mg/cm²、SPFの表示どおりの条件になります。出どころは2002年に医学誌BMJに載った、体を11区画に分けて各区画に指2本分ずつ、という目安です。査読付きの原著論文ではなく、レター(読者投稿)です。 面積からの計算に基づく実用的な目安。その程度のものだと知ったうえで使ってください。

それでも、やる価値はあります。日本人女性の乳液タイプの実測量は基準の15%でした。「多すぎる」と感じる量が、たぶん正しい量です。 一度出してみて、いつもの量との差を目で見る。今夜10秒でできます。

2. 買い替えるなら、SPFの数字より「剤型」を見る。

実測データで、いちばん基準に近かったのはジェル(1.2 mg/cm²、基準の約60%)。いちばん少なかったのが乳液タイプ(0.3、約15%)でした。これは「ジェルを買え」という話ではありません。「自分がたっぷり塗れる質感かどうか」が、SPFの数字より効いてくるという話です。

判断の基準はこうです。手に取った量を、ためらわずに顔に伸ばせるか。 ためらう質感なら、SPFが何であれ、あなたの肌の上ではSPFは出ません。

3. PA++++にお金を足すか迷ったら、足さなくていい。その分を「量」に回す。

PA+++とPA++++を比べた臨床試験は、見つかりませんでした。「+の数を1つ増やすと肌がどう変わるか」は、誰も人で確かめていません。 一方で「量が減るとSPFは指数関数的に落ちる」ほうには、アジア人での実測データがあります。確かめられていない差にお金を払うより、確かめられている差(量)に手間を払うほうが、根拠があります。

これは「PA++++を買うな」ではありません。買うのは自由です。ただ、「++++だから守られている」と思って塗る量を減らすなら、それはいちばん損な選択です。

4. 「2時間ごとに塗り直す」を守れずに罪悪感を持っているなら、その罪悪感は根拠が薄いです。かわりに、外出直後を狙う。

「2〜3時間ごと」に強い臨床試験の裏付けはありません。守れなくても、責めるほどのことではない。そのうえで提案します。根拠が無いなら、いちばんマシな根拠を借りる。 モデル研究の推奨は「外出の15〜30分前に塗り、外出開始から15〜30分後にもう一度塗る」でした。

現実的には、こうなります。朝、家を出る前に塗る。会社や学校に着いたら、トイレでもう一度重ねる。 あとは汗をかいたとき、水に入ったとき、タオルで拭いたときに塗り直す。それだけです。繰り返しますが、これはモデル研究であって、人で検証された話ではありません。「エビデンスがあるから」ではなく、「他にもっと確かなやり方が無いから」という理由での提案です。

5. SPF50+をすでに使っているなら、変えなくていい。SPF15の製品を探しに行く必要はありません。

「光老化を抑えた試験はSPF15+だった」と書きましたが、これは「SPF15に下げろ」という意味ではありません。人は結局ちゃんと塗らないので、高いSPFは保険として働きます(実使用の半顔試験がそれを示しています)。

渡したいのは、こういう目です。 PA+++の製品からPA++++の製品に買い替えても、その上乗せ分を人で確かめた臨床試験は見つかりませんでした。でも、いま使っているSPF50+を「指2本分」で塗るように変えることには、根拠があります。買い替えではなく、塗り方。それが、この研究群から出てくる唯一の行動です。

6. ビタミンDが心配で日焼け止めをやめようとしているなら、そのデータは支持されていません。

76の研究を集めた系統的レビューの結論は、「実生活の場面で使われる日焼け止めが、ビタミンD(25(OH)D)濃度を下げるという証拠はほとんどない」でした。実験室で人工の紫外線を当てる条件では確かに産生が抑えられましたが、フィールドで行われたRCTでは、毎日使用による影響は認められませんでした。

ただし正直に書きます。そのRCTで使われたのは、SPF16程度の製品です。 SPF50+を毎日全身に塗った場合のデータではありません。ビタミンDが不安なら、日焼け止めをやめるのではなく、医師に相談して血中濃度を測るほうが確実です。

気をつけたいこと

「危ない」と切り取られる話を、原典に戻す

よく見かける切り取り同じ論文に書いてあったこと
経皮吸収(血中に入る) 日焼け止めの成分が血中に移行し、FDAの基準(0.5 ng/mL)を超えた 事実です。ただし試験の条件は「2 mg/cm² を体表面積の75%に、1日4回、4日間」という最大使用条件(FDA主導・n=24)で、日常の塗り方とはかけ離れています。そして著者自身が「これらの結果は、個人が日焼け止めの使用を控えるべきことを示すものではない」と書いています
ナノ粒子 ナノ粒子が、肌の奥まで入り込む 酸化亜鉛ナノ粒子は0.03%未満しか角層(肌のいちばん外側の層)の最上層に入らず、角層の下の層では検出されませんでした。ただし、1つのレビューの記述です
どこで確かめられたのか 日焼け止めの効果は、証明済み 光老化と皮膚がんの試験は、すべてオーストラリアで行われました。紫外線が極端に強いクイーンズランド州の、主に白人の集団が対象です。日本の生活環境に、そのまま当てはめることはできません。ただし「日本では効かない」根拠にもなりません
出典: 経皮吸収=Matta 2019(JAMA、FDA主導・n=24・最大使用条件)/ナノ粒子=Sander 2020(CMAJ、レビュー)/オーストラリアの試験=Hughes 2013(皮膚老化・903人・4.5年)、Green 1999(皮膚がん・1,621人)、Green 2011(メラノーマの追跡)。「血中に入った」ことと「害がある」ことは、別の問題です
  • 「血中に入った」ことと「害がある」ことは、別の問題です。JAMAの試験の著者自身が書いた一文(「これらの結果は、個人が日焼け止めの使用を控えるべきことを示すものではない」)を落として、血中濃度だけを切り取る記事があるので、書き添えておきます。
  • ここで紹介した試験の参加者は10〜1,621人、期間は単回曝露〜4.5年と幅があります。ナノ粒子・経皮吸収については、レビューと小規模試験の記述です。安全性の結論として扱える規模ではありません。
  • 肌の状態に不安があるとき、乳幼児に使うとき、治療中の疾患があるときは、自己判断せず医師・薬剤師に相談してください。

まとめ

  • 903人を4.5年追ったランダム化比較試験で、日焼け止めを毎日塗った群は皮膚老化の進行が24%少なく、4.5年間で老化の増加が検出されませんでした。使われたのはSPF15+です。
  • 日本人女性が顔に塗る乳液タイプの実測量は 0.3 mg/cm²、基準の約15%。そして塗布量が減るとSPFは指数関数的に落ちます。伸ばすべきは数字ではなく量のほうです。
  • PA+++とPA++++を比べた臨床試験も、「シワを防ぐならSPF50が必要」を示した長期試験も、探した範囲では見つかりませんでした。買い替える前に、今夜「指2本分」を出してみてください。

参考文献

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